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【仲良き事は】幽霊と暮らしてる【美しき哉】別館
340:739◆Al9ki804zA 10/29(金) 21:47 EFwtQlfu0
しだらの基本ライフスタイルは『流行神』である。
ライフスタイル:流行神を乱雑に説明するならば、
「各々の目的(だいたい暇潰し)のために時代時代や地域地域のトレンド信仰に乗っかって、ソレに思い描かれた神を『実演』というカタチで持ち得る験力を振り撒いていく」存在。真面目な方々からすれば相当にはた迷惑な存在である。勿論真面目な流行神もいらっしゃるとは思うが、真面目なら一箇所に留まっているんじゃねーかとニンゲン所感。
なお『流行神』そのもののきちんとした仔細は、ネットでなく民俗学書籍を読んで頂きたい。信仰というなの各どんちゃん騒ぎ()に「結局、神も信仰も宗教も、ニンゲンが勝手に作ったもの(に連中が自らの目的のために乗っかっているだけ)なんだよなぁ」と虚無れるので。
そして、トレンド信仰の最たるものは現世利益最優先の江戸時代に大流行した『稲荷信仰』で、全国のあちらこちらに大小不問で社が乱立しているのはその名残だったり。
ヤツは、ニンゲン側に『神』という概念が生まれる前より陰からアッチコッチ渡り歩いて助けたりし続けた。時代や地域で求められる働きをし、思い描く姿を取ったり、時には他の神と争って(理由はヤツ曰く『俺のほうがあいつらをもっと救えるから』と)勝ってエリア権を手に入れたり、負けて手放して去ったりと。
そんななので、田の神、歳神、荒神(竈の神)、道祖神、賽の神、身近な信仰神はわりと履修済みかと思われる。
341:739◆Al9ki804zA 10/29(金) 21:51 EFwtQlfu0
そんな感じで、叩き上げで『神様』業を大昔から今日まで続けてきたためか、相当に器用。
身体の不調肩代わり(自分でカバーし切れず走る四肢の麻痺を徐々に持って行ったり)や治療(たとえば気圧乱調で動悸が治らないと心室内を舌で舐めて落ち着かせたり)、弱っている期間の天候対処(台風逸らしから暖冬冷夏まで)、“たぶん脳梗塞”の後遺症(脳神経の修復もしてたんじゃないか?)完治ヘルプや、生身の人間の背に開いた霊道を月日をかけて綴じたり(しだらがクる前は風宮さんが札越しでなんとかしようとしてくれたのだが)、アナーキーな引き寄せ(只より安いものはないからこそ日常生活の各管理能力が崩壊していく)の権限変更、と。いっそ甲斐甲斐しい庇護欲お化け。ウザ。
痛覚ならぬ畏怖覚崩壊が代償ながらも、ヒトひとりのQOLを確実に改善させたのは事実。また、ヤツがキてから、ポテンシャルが多少はあるのにその気も後ろ盾もなく弱っている心身に制御できてない引き寄せ()に、好意というなの付け狙いアタックしてくる神連中を殺すことも激減した。ただ、キてから暫くは殺消の心身疲弊に代わるかのように、ツキノワグマを相手にするかのような、懐かれ癇癪やKV(神バイオレンス)から発展して殺し合いレベルの喧嘩をする別種の疲弊感を得るようになってしまったのだが、が、が、
やはりQOL改善の代償は大き過ぎた。
342:739◆Al9ki804zA 10/29(金) 21:52 EFwtQlfu0
性格は大分アレで相当に終わってはいるが、それでも永くニンゲンに寄り添って人間の望む『神』を(試行錯誤を繰り返しながら)実演し続けてきたため、ニンゲン事情にイロイロと理解を示すので話が通じてくれる。というか、連中が長い年月の中で「思考発想に柔軟性を持ち合わせなかったものは須らく時代時代で淘汰されていった」印象。頭が固く融通が利かなかったり、恩恵より癇癪被害が大きかった存在は、消えていったか、世に残っても人間が付いていけず周囲が寂れ切って忘れさられたか。強い弱いは二の次三の次。もちろん、それを是としている神も少なからずはいるだろう。ニンゲンが彼らを『神』と祀ろうが祀るまいが、彼らは遥か昔から『彼ら』のままなのだから。寂れようが忘れ去られようが、当事者には瑣末過ぎること。
なので、ヤツに限らず、存在が旧く且つニンゲン付き合い自体も永い『神(を演ってくれる方々)』はイロイロとコチラに理解を示し、場合によっては便宜を図ってくれたりする。多少の価値観や程度の齟齬は仕方ない。結局は互いに『異種族』でしかないのだ。向こうが歩み寄ってくれているのならば、こちらは具体的な内容説明で返すのが礼儀。わかり合えないからこそ、わかり合えるまでのところを、わかるまで。
この辺りは、ジブンの生前時代の価値観に固執しているモラハラ老害ク祖霊よりは遥かにマシだ。墓守不足解消のためにPMS対策のピル処方に婦人科定期通院している子孫をレイプに遭わせることも視野に入れていた、怒りより呆れが先行するような、元同族な血族という立場に甘んじて墓というベースキャンプに胡坐をかいているあたおかどもよりわ。
343:739◆Al9ki804zA 10/29(金) 21:53 EFwtQlfu0
“しだら”という便宜上呼称は遣使さんが『あれを使うときはそう呼べ』と云ってきたのでそう呼んでいる。この呼称の元ネタは大昔に各地で流行った民間信仰神の一つである『志多羅神(のうちの一柱が某八幡にのぼったのかと)』から来ていると思われるし、恐らくヤツの渡り歩いてきた経歴の一つでもあるのだろう。
もっとも、今のこの“しだら”の意は、しだら曰く『はぐれもの』の意であり、連中からは蔑称的な位置付けらしい。
ので、きちんと『――明神』呼びも考えた、ら、ヤツ本柱から嫌がられる始末。なお、キてから数ヶ月後ほどに、存在ウザさの意趣返しに嫌みで「(しーちゃんv)」と呼んだらすんごいデレデレした。キメェ。
しだらに限らず、向こうは『名前』をファッションアクセサリーにしか思っていない節があり、名前や名付けの重みなんちゃらとはファンタジー路線であることを思い知らされる。『名前(もといラベリング)』もニンゲンの『発明品』だもんな。なんだったら向こうから「こう呼ばれたい」リクするもんな。だから、大神明神ソレはコッチでは魚の名前です、語感でチョイスはどうかと思いますよ。
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344:739◆Al9ki804zA 10/30(土) 23:20 1v1Wrhub0
昼飯に柿を丸々齧って食べていたら会社のヒトが、
「柿って、生ハムメロンみたいに、生ハム乗せて白ワインで食べると美味しいよ!!」
という素晴らしいアドバイスを頂いたので、帰宅して今晩早速実行。
店でスライス済み生ハムのパックと白の辛口スパークリングワインを購入。
家にあった完熟超過手前種無し柿を薄めにスライスして、生ハムを乗せる。
軽く冷やしたスパークリングワインをフルートグラスに注いで、いただきます。
「う、うまい!!!」
熟れてやわくあまくなった果肉に適度な弾力と塩気のある生ハムのコラボレーション。
そして、柿で掻き消しきれなかった生ハムの臭みは、辛口スパークリングワインのアテとなって最高の口内調理に。
最初の一つにふぉぉおぉお……!!となっていたら、怪訝そうにしだらがこっちを見ていた。
どうやら、ナマの果肉に(実質)生肉という組み合わせが異様に映り、そしてその『異様な組み合わせ』で瞳孔開かせているおれに一層訝しんで。
とはいえ愉しんでいることに虚偽はないようなので、手で写し取って、スライス一つ分をぱくり。
『!!!』
ぱぁああぁあああ……!!
と、ヤツのカオが輝き、そしてテーブルに置かれていていたワインを手で写し取って飲んで、
ぱぁああぁあああ……!!
と、一層に輝かせる。
「(おぅ、美味いか?)」
と、おれが更にスライス一つ分を食べながら追い生ハムを口の中に入れてスパークリングワインを煽ると、
遠巻きに見ていた他の連中が集まって、軽い酒盛りタイム。
いやぁ、いい時間だわ。
柿とワインは終わったけど、まだ生ハム残っているから、ウーガダールでも飲むか。
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345:739◆Al9ki804zA 10/31(日) 17:33 4YatGoV60
しだらの大元は、樹林霊とか山林霊とか、そのような“もの(物の怪)”である、一部であった。
そのためか、特に鹿が、だいきらいである。
ヒトが十年使用していい加減に寿命を迎えたナイロン製マジックテープ二つ折り財布からシンプル長財布を探していた時に、しきりに鹿革製を勧めてきたり、名古屋友人夫婦宅で出されたローストベニソンにわかり易くテンションを上げたり、つぶやいたーで回ってきた「大雨後の雲さえ映り込む澄み切った水面に浮かぶ蛆のたかりまくった鹿の死体」の画像に手を叩いて喜んだりと、まぁわかり易い。
鹿は、神の使いだとか神そのものだとか何かと神聖視されてはいる存在で、実際にそんな存在がいなくはないのだろうが、世の中に存在している鹿の9割9分9厘以上は、フツーの、草食動物たる、鹿、である。角の代わりに二丁拳銃を装備して人々を虐殺したり、その人々を洗脳して破壊行為に及ばせることもない。
一般草食獣たる鹿は、兎に角、わかり易く毒性のあるもの以外の草木種子樹皮新芽は何でも貪り食う。そして角を樹木に擦り付ける。樹木側にしてみれば、たまったものではないよう。鹿を害獣認定しているのは人間の農家やその関係者たちだけではないようだ。ユーカリも樹林霊化して“ああ”なったら、同じようにコアラの死にテンションを上げるのだろうか。いや、ユーカリは山火事を起こし易くすることで不定期で遠回しながらも自らの手で憂さを晴らしているのだろうから、そこまではならないか。
ではなく。
何はともあれ、この元・樹林霊は、鳥獣草木その他の所謂『自然』よりも、ニンゲンに肩入れすることを選んだ。
346:739◆Al9ki804zA 10/31(日) 17:58 4YatGoV60
基本的に虫や鳥獣が樹木や草本に“感動”や“感謝”を覚えることはなく、ただ淡々と食し、使い、消耗していくだけである。そもそも『恵み』という発想自体がないのだから、覚えようも無いのだ。全てはあるがままのソレで終わる。豊作も凶作も関係なく、ただ移ろう環境に淘汰されながら適応できた形質が生きていくだけ。それ以上もそれ以下もない。樹木や草本も、同じように環境変化の洗礼を受けては、たまたま対抗できた種が残って殖えて一部が突然変異を起こしては種の全滅を防いで、の、繰り返し。
が、そこに、ある種のイキモノが『恵み』という発想を見出し、“感動”や“感謝”を覚え、畏敬や親愛といった情を注ぎ、いつしか音や動きを捧げ、生活活動品の一部を分けてきた。
これを結構な衝撃を受け、それまで“アタリマエ”だったものがガラリと一変。
謝意を覚えて捧げるイキモノ、ニンゲンを好むようになり、一方で無心に貪り食う獣を厭うようになった。
同じ「使われる」だけならば、鳥獣や同族よりもニンゲンのほうが余程いい。謝意や種々の情を捧げてくれるし、捧げなくとも勝手にいろいろ「面白い」ことをしてくれるのだから。
こうして樹林霊は――より正確には募った想いゆえに広大な存在の一部が『異質化』を起こしたソレは、自己防衛の働いた母体から自然と――或いは自らで脱そうとしたのか――切り離され、存在を独立させ、己だけの自我を得た。
そして、己の思いがまま思うがまま、人々から望まれた名前で望まれた験力を振るい、時代や地域を渡り歩いていった。
そして、恐らく、ソレが生まれた樹林は、もう残ってはいない。
つまり、コイツは、変異を起こしたがゆえに全滅を免れた、
大昔に「確かに在った」大自然の忘れ形見でもあるのだ。
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347:739◆Al9ki804zA 10/31(日) 18:03 4YatGoV60
興味の無い相手に細かい分類までを問うのは野暮い話
それは今年初めで、まだデルタ株が猛威を奮う前のこと。
2月は年間休日数の兼ね合いのためか休日絡んだ二連休が発生するのだが、今年は二回もあった。更に二月はシーズン的にも基本的に「何もない」ため、旅行するにはうってつけのタイミングなんだ。
更に、ここをのがせば、最低でも半年、ひょっとしたら一年は旅行ができないだろうと、躍起になった。もちろん、感染対策をきちんと準備した上で、だ。
そして、候補をどこにするかで悩んだ。
「(今回二回もあるんだよなぁ・・・ハズレがないのは京都だけど、去年も京都行ったしなぁ・・・金閣寺で榊雲さんとまたウェイウェイするのも楽しそうだけど、どんだけヒマなヤツなんだって思われるのも癪だよなぁ・・・)」
と、取り留めなく考えながら、
「(言やぁ、笠間稲荷最近行ってないんだよなあ・・・でもなぁ・・・笠間この時期クッソ寒いんだよなぁ、福島の山中よりはマシな程度で。でも、笠間さま、ザ・山神って感じでめっちゃ好きなんだよなぁ・・・どっかの元・木のオバケと違って。たぶん神使さんの件もあるから行った方がいいんだろうし、假屋崎省吾の作品が展示してあることもある自然食レストランもあるし日動美術館も展示物のレベルがカンスト狂いしているしているから何度行ってもいいんだけど・・・でもなぁ・・・寒いしなぁ・・・変に遠いしなぁ・・・泊まりレベルでも無いしなぁ・・・)」
と、更に取り留めなく考えていたら、
不意に、大神明神の気配が強くなって、
『主(ぬし)、稲荷に行くのか? ならば、我を連れて行け』
と、云ってきたんだ。
348:739◆Al9ki804zA 10/31(日) 18:05 4YatGoV60
そして、この時おれのアタマの中で、
稲荷→候補
1.伏見稲荷系(渡来人秦氏の祖霊神メーン)
2.豊川稲荷系(インド生まれの神荼枳尼天メーン)
3.後付け系(諸処の理由や思惑で〇〇稲荷とくっつかっているだけでそもそもは〇〇権現なり明神なり)
4.トレンド時代生まれ系(江戸に大流行した新規勢)
どれ!!!?
と、訊いたとこで云ってきた本柱もそこまで深く考えていない可能性しかないため、
追求は、流石に、しなかった。
そして二月の2回目の旅行で伊勢に行った時、伊勢市駅で下車して駅付近の神社に参拝したのだが、気付けば大神明神も隣で手を合わせて参拝していて。
その神社こそ、稲荷だった。
(なお私は寺社の名前を見ないで入ることが多いため、気付くのがだいたい遅い)
「(ほんとに『稲荷』ならなんでも良かったのかよ)」
と、満足気な様相の大神明神を目の端で捉えつつも、
軽く、肩透かしを食らった気分になったんだ。
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349:739◆Al9ki804zA 10/31(日) 19:31 4YatGoV60
それは今から数年前の、求職者支援訓練時代で、しだらがキてから月日がそこそこ経過した頃のこと。
ある日、いつものように支援施設へ向かっていると、不意にしだらが自販機に興味を示した。
「(なんなん?)」訊いてみると、
『俺、これ欲しい』と、指した先にはブラックコーヒー缶(の見本)が。
缶コーヒー自販機価格1本120円。
当時実質無職の私には、結構な贅沢品だったんだ。況して当時ブラックは飲めなかったから尚更に。
しかし、勝手に押しかけておきながらビビられ続けたことに腹が立ってKVを繰り返しては遣使さんに何度も襟首捕まれたり太刀で斬られたり矢を何本も射られたりと連れ返されては戻ってきては節介を焼いて気に食わないとKVを繰り出してはおれに殴り返されてそのまま殺し合いレベルの喧嘩に発展しているとはいえ、持て余していた体質を「なんとか」してくれているのは癪だが事実に相違ない。
なので、適度な見返りは、礼儀の範疇。
「(わかった。終わった帰りに買ってあげるから)」
と、約束して、そのまま施設へと向かった。
そして、終わった帰りに、家の駅のスーパーに寄ったんだ。
向かったのは、缶飲料コーナー。ここなら、種類も豊富で、何より安い。
選んだのは、無香料と謳われたブラックコーヒーを一本。
これなら満足してくれるだろうと、買い物カゴに入れてレジに向かおうとした、ら、
『なんだよ、自販機で買ったやつじゃないのか』
と、嘆息まで聞こえたので、
反射的にカゴに入れた缶コーヒーを左手で鷲掴んでその横ッ面にフックを入れてしまったのは、仕方の無いことなんだ。
そして、殴ったあとで気付いたのは、
「(コイツ、単に自販機の絡繰仕掛けを愉しみたかっただけか)」ということ。
ならこの缶コーヒーは無為だなと思いつつも、外観も中身も変わってないとはいえ曲がりなりにも凶器として使ってしまったため、きちんと購入したんだ。
この翌日、
改めて行き掛けの自販機でブラック缶コーヒーを買ってやった。
ガコンと落ちたソレを手にとってプルトップを開けてヤツに渡すと、ヤツはそれを写し受け取ってぐぃっと一口。
『やっぱ、男はブラックだよな』
言ってろ。
――――
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