【仲良き事は】幽霊と暮らしてる【美しき哉】別館
329:739◆Al9ki804zA 07/22(木) 17:04 S9n0L4uo0AA

しだらは水菓子、もとい果物が好きである。
農業や運送技術の発達には、ヤツに限らず連中が美味いもの食いたさにウラで暗躍してたんじゃないかと勘繰りたいレベルで。

数年前に父が入院し、その見舞い品としてお高そうな洋ナシのセットが仕事関係者から贈られてきたときのこと。

ヤツはソレに気付くと見るからあからさまにテンションをだだ上げし、いつ剥くのか食べさせてくれるのかを肩つかみ揺すりレベルで訊いていた。
その様相に私は投げ遣りな気分になりながら「(アタシの一存じゃムリだって)」とだけ返した。そのとき、どこか涙目だったのは気のせいだったと思いたい。

それから少し日数が経過した夜のこと。
母が「折角だから果物みんなで食べようか」と提案した。

しだら、わかりやすくテンション上げる。

母の言葉に姉が皿と果物ナイフを準備し、剥き始めた。
個室内に広がる洋ナシの強い芳香。それはとても芳しく、しだらは更に色めき立つ。

が、洋ナシの芳香はあまりに強すぎた。

姉「あ、コレ、ダメになってる」

皮の内側は、茶色のぐずった果肉が全体の半分以上を占めており、とても食べられる状態ではなかった。
その一個に限らず、他も。

贈答品の果実は“食べ頃”を詰め合わせているので、貰ったらASAPで食べなければいけなかったのだ。

そして“食べられない”と知った、しだら。

『おれの洋ナシが・・・・・・』

わかり易くカオから色を失い、
続いてふらりとその体が力を失ったかと思えば、その場に両脚から崩れ落ちて両手を地に着けた。

『おれの・・・・・・・』

そして体を小刻みに震わせ続け、しばしその体勢から動けずにいた。

私はヤツを尻目にもせず、フツーに生ゴミをまとめ、ヤツを置き去りにして汚れたナイフと皿を洗いに行った。
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