焼香


277 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2007/04/14(土) 00:49:19 ID:/csw2JXjO
3年前、母方の祖父が亡くなった。
担当医から「今夜が山」と言われていたので病院には母方の親類一同が
集まっており、皆が見守るなかで爺ちゃんは逝った。
爺ちゃんは霊安室に移動され、親類一同も移動。
沈黙の時が過ぎる。
そこに、母方の親類とは普段疎遠な俺の親父がやってきた。
親父は神妙な面持ちで婆ちゃんに挨拶して、焼香台へと向かう。
親父は線香を手に取り火をともし、手で火を消し払い灰に立てる・・
はずだったのだが、手は線香との距離を見誤り、線香先端にヒット。
折り飛ばされた先端は、あろうことか同席してくださっていた担当医の靴
の上に・・
担当医は沈痛の面持ちで目をつぶっていたので気付いていない。
線香の煙は担当医の股間を狙うかのように細くあがっている。
教えてあげたいのだが、その担当医の沈痛過ぎる雰囲気に皆動けない。
そんな皆の動揺をよそに煙は容赦なく担当医を包みだす。
俺はそれまでの緊張もあり、そのドリフ級のあまりにもベタな展開に耐え
きれず、ついにクスッwと笑ってしまった。
連鎖するように姉がクスッw。
こうなると全員笑い上戸な我が家の家系はもう止まらない。
親類一同大爆笑。
何が起こったのか解らず、足から煙をあげながらキョトンとしている担当
医の姿に、最後まで踏張っていた婆ちゃんも耐え切れずに笑いだした。

いま思えば担当医には悪いことをしたが、笑い番組の好きだった爺ちゃん
が、最後のイタズラをしたような気がしてならない。
 

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