祖母とおじいさん


243 名前:名無しの霊体験[] 投稿日:2015/05/23(土) 03:41:11.65 ID:cq0KOtTZ0
誰もいないけど続きを書くよー。
おじいさんは、えびすさんの顔をしているが本当にえびすさんかは定かではない。
付喪神と言っても祖母(享年89)が手に入れたのが結婚した時で多分20歳の時。
僕は付喪神かな?と思ってはいるがおじいさんは自分にあった人形であれば入れるらしい。
現に一人暮らしの為に引っ越した時、555の人形に入ってついて来た。
小学校時代もランドセルに付けていた祖母お手製のクマ人形型御守りに入れたし。
遺伝の元である母に聞いても詳しくないから知らないと言われた記憶がある。
おじいさんは祖母を守っている訳でなく、ただいるだけの存在って事もあり認識している僕について来ていた。
そもそもとある体質のせいで僕に守護霊がいないせいもあり暇なおじいさんは散歩ついでと言っていたと思う。
田舎で山の頂上に住んでいるせいか子供だったからか神隠しに遭うって言われている森や猪の縄張りである林で遊ぼうとすると必ず一緒だった。
ザリガニ釣りに行った時もおじいさんは自前の釣竿で一緒に釣りしたり、なんというか相棒的な感覚になっていた。
仏壇に供えてあるまんじゅうを食べたり祭りになると酒を飲んだり霊らしくない霊だ。
厄介な体質の僕を守ってくれたり、運命共同体にも思っていた。
 
244 名前:名無しの霊体験[] 投稿日:2015/05/23(土) 04:16:54.67 ID:cq0KOtTZ0
どのくらいの長さまでがOK範囲か分からないけどぶつ切りはあれ何で一気に書きます。

高校生になってもおじいさんはいた。
何年もの付き合いの親友となっていたおじいさんがある日寂しそうに呟く。
祖母がガンで入院して寂しいのかと話を聞くと、「いちちゃん、もうすぐだ」と言って溜め息を吐いた。
そっか、退院すんのか……やっと帰って来れるのかと祖母の部屋を掃除した。
でもおじいさんは寂しそうに本体?の近くに座って溜息を吐いている。
「おばあちゃん帰って来るんだからさ、もっと明るくなりなよ」
「坊主、頼みがある」
おじいさんは、本体を祖母の入院先に持って行って欲しいと言った。
祖母の元気な姿が早く見たいのかと僕は着替えを持って準備している父に恵比寿様を渡して持って行ってもらうよう頼んだ。
バイトがあるからお見舞いにはいけないけど、とおじいさんに言って見送った。
「いちちゃん、もうすぐだ」の意味が分かったのはバイトが終わって携帯を見た時で親からの着信が沢山残されていておじいさんの言葉を思い出した。
そっか、そういう事かと泣きそうになりながら親の迎えを待って祖母の家に向かう。
葬式の間、おじいさんはずっと祖母の近くで項垂れていた「僕のそばじゃなくておばあちゃんの近くにいたら」と思うとやるせなくなり目を合わせなかった。
その晩、火を絶やさないようにと見張りをしているとおじいさんは祖母を見て言う。
「いちちゃん年取ったなぁ、旦那を早くに亡くして……坊主の父親に手を焼いて、ご苦労さん」
「ねえ、おばあちゃんと一緒にいたら変わってた?」
「……いいや、変わらなかったさこれは決まっていた事だから気にするな」
おじいさんはそう言って笑うが、やっぱり寂しそうだった。
でも、と言いかけた僕におじいさんが遮るように語る。
「人は生まれてから死ぬまでの運命は決まっているから無理に変えようとしてはいけないんだ、だからわしが誰のそばに居ようと変わりはしなかった……ただ」
「ただ?」
 
245 名前:名無しの霊体験[] 投稿日:2015/05/23(土) 04:17:33.98 ID:cq0KOtTZ0
長いっていわれた(ノД`)・゜・。

「いちちゃんが大事にしてくれたから感謝をしたかったのに、わしは何も出来なかったのが心残りなんだ」
いつも遊んでくれたおじいさん、入院した祖母の代わりに守ってくれていたのだからなにも出来なかったっていうのは違うんじゃないかって思った。
出棺の時、器だけでも一緒にと恵比寿人形をおじいさんの願いで棺桶の中へ入れてあげた。
「おつかれさん」
おじいさんはそう言うとにっこりわらって見送る。
今でも僕といるのは祖母がおじいさんに守ってあげてと願ったかららしい。
今も昔も笑える体験や怖かった体験を経験させてくれた恵比須顔のおじいさんの話は嘘の様で本当の話。
 

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