前向きなばぁさま


806 名前:本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2009/07/26(日) 01:02:42 ID:Sw1z0137O
うちのばぁさまに聞いた話。
ばぁさまがまだ結婚したばかりの頃、百姓の家から田舎の普通の家に嫁いで本当に貧乏だった。
底抜けに前向きなばぁさまは貧乏でもやりくり上手な嫁だっらしい。

ある日、寝苦しさに目を覚ますと、目の前にきれいな景色が広がっていた。
すぐ近くにはサラサラと流れる長い川。
向こう側には亡くなった祖母が優しく手を振っている。
…三途の川だった。

「○○、おいで、こっちだよ」
祖母が優しく呼んでいる。
渡れない川幅ではないし‥
少し悩んだ末、
その時のばぁさまの返事は


「金が無いから行けねぇんだ」


そう言うとハッと目が覚めて飛び起きたらしい。
全身汗だくで呼吸もままならず、ずっとむせていたそうだ。
どうやら病院に行くお金もなかったので放っておいた風邪をこじらせて、気管が詰まったらしい。

俺に対しても、やれ貯金しろお金は大事だとうるさいばぁさま。
もし貧乏が辛くてきれいな所に惹かれていたら母さんも俺も生まれてなかった。
そう思うとものすごく怖ぇ。

前向きな貧乏で本当に良かった。
  

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