【仲良き事は】幽霊と暮らしてる【美しき哉】別館
350:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:24 DO+spdJJ0

しだらの誓い


それはしだらがキてから二ヶ月とかその辺りだと思う。
省10
351:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:25 DO+spdJJ0

そんな精神状態最悪な中で、ちゃんと理由があるとはいえコッチの負担をわかった上でヒトに強い神気を浴びせ続けておながら、いつでもハツラツ活き活きとしているしだらの存在は、神気による崩壊再生のストレスとは別に、私に強い陰を落としていた。
「(なんで非人のコイツがこうも情緒豊かで、生身の人間であるはずのアタシがこんな無感動なんだか)」
そもそもこの頃、本当に『恐怖』という感情を持っていたのか怪しかった。
非は向こうにあり法に問われないとしても、自我のある相手を際限なく殺し続けていくことに辟易していた。核の場所を知るために対象とシンクロしたあとで核を壊す手法のため、実質ジブンを殺すようなもの。疲弊しかない。シンクロしなくとも、経験直観で核の場所がわかるヤツはわかるが、ソレをシたら私は真に修羅に堕ちそうで、したくなかった。
いつぞやの夏で雷神が来てしまってから「(助けを求めてしまうとダレかしらがキて周囲に甚大な被害を与える可能性があるから、そもそも助けを求めないように、カルラの力も借りず)ジブンのことはジブンできちんと手を下すべき」と、怯えるだけでなく、自身の力で反撃に転じることを考え、成功した。ただ、状況が予想外の方向へ行ってしまった。後を絶たないのだ。こちらがどんなに辟易しても、消される恐怖よりも好意が勝って嬉々として突撃してくるのだ。恐怖無く向かってくる相手を殺していくと、こちらの恐怖も失せていき、いつしかそれはただの『作業』と化していく。省9
352:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:27 DO+spdJJ0

辛うじて、神気だけは肉体の根源的な本能と実際の負担から『恐怖』を「きちんと」覚えられて、精神体の『逃避』が、自動選択された。しかし、逃げても逃げても追い掛けては追い付いて、肉体のある元の次元に引き戻して、浴びせ続ける。機嫌が良いときもKV時もそれは変わらない。いや、機嫌が良いときのほうが神気が純に強まって辛く、KV時のほうが濁ってマシだった。
その神気すらも、いつしか『慣れ』て、何も感じなくなる時が来ると思えば、どうでも良くなってきていた。
背に大きく開いた霊道も、しだらの神気と知らない領域で行なわれているのヤツのメンテナンスで綴じる気配こそ見えてはいるが、見えている程度のまま。相も変わらず油断すると勝手に出入りに使われ、往でも復でも、カラダを媒介にすり抜け出られるカンカクは生理的な気持ち悪さしかなく、何より体力をごっそり持っていかれる。向こうとしては、ただ「見つけた出入り口を通るだけ」の軽い感情なので、私には感知ができず殺すこともできないまま利用だけされて終わってしまう。
全てがどうでも良くなってキているのに、ストレスだけが降り積もって、知らない場所でダメージをもらい続ける。
省9
353:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:29 DO+spdJJ0
「(笑えないなぁ。生身人間より神のほうが、余程に『人間らしい』なんて。あいつのほうが、ヒトとして生きていくのに相応しいだろ。………………なんでアタシが人間しなきゃいけないんだろう)」
――アタシが人間なのは肉体だけだろ、日頃コッチに好意を向けるなんだかよくわからないものを殺し続けて
――そのうち、カラダが人間なまま、バケモノになったり神()になったりするのかなぁ……
――スピ堕ちだけはイタ過ぎて絶対に嫌なんだけどなぁ…………あれ?今も変わんない?
――そしたら何のためにアタシは『人間』でいることにしがみ付いているんだろう
――親への対応がめんどくさいから?あいつらの仲間入りになりたくないから?省13
354:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:31 DO+spdJJ0

意地だけで取り繕い生きているジブンにポーズとして形だけの嘲り笑いを浮かべてみせていたら、
不意に、肩を強く掴まれるカンカクがして、意識を向けてみたらそこにはしだらがいた。

ヒトの両肩を強く鷲掴みし、両の目尻からは細い水の線が頬を流れ伝わせ、何かを耐えるように歯を食いしばって、
私を、真っ直ぐに見ていた。
355:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:32 DO+spdJJ0

いったい急になんなんだ?
と、ウザったらしく思っていたら、掴まれた両肩に更なる力が加わって少しだけ顔を顰めた。

しだらが、食いしばっていた歯を、開いた。
省10
356:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:34 DO+spdJJ0

一旦残された私は突然のことに脳内で疑問符を打ちながらも、先のしだらの言に、軽い失望を覚えた。
「(なんだよ『立派』って。結局、お前もあいつらと同じだったのかよ)」
しだらはどうしようもないヤツだが、あいつは、私のリアルでは無用な力を何一つ欲していなかった。引き寄せも、場の無化も、呼び寄せも。方法はわりとクソで力ずくで反動もデカいものばかりだが、それでも私を何とかして助けようとしていたのは、知っていたし、わかっていたし、現に改善も見え始めていた。だから、少しだけ、僅かながらも信を置いていた。
だのに。
「(『立派』にするって、そういうことなんだろ?利用して、知名度をコッチかソッチかで上げて、ジブンの名も、ってやる気なんだろ?)」省10
357:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:36 DO+spdJJ0

しかし、一ヶ月経っても二ヶ月経っても「そういうこと」の案件が出てくることはなく、
父の死やその後の処理、母と妹の改めての三人暮らし、就職、愛想尽かしから一人暮らしの準備と引越し、
と、目まぐるしい日々に追われてすっかり忘れ、そして忙しさから抜け出すと気も抜けてしまい、少々のことはあれども「そういうこと」ではやっぱり全くなく。気付けば、忘れたままに、日々をヤツやヤツ達、会社や友人たちとでそこそこ愉快に毎日生きていた。

省8
358:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:39 DO+spdJJ0

先週の昼に、千切りキャベツを袋のまま食べながらつぶやいたーを眺めていたら、知己の一人が、
『最近無敵の人や刹那的衝動がわかるようになってきた』
『やったら犯罪で刑務所で人生詰むとわかっているけど、そこまでに考える時間を要して危険』
みたいなことを吐露しているのを見て、
「(なんかわかる気がするけど、私がソレわかったのは結構昔な気ガス。いつぐらいだったっけ。まぁ、いいか)」省19
359:739◆Al9ki804zA 11/10(水) 20:40 DO+spdJJ0

ニンゲン側でよくイメージされるような、歴史に名を残すことでもなく、世に貢献することでもなく、他者に求められることでも愛し愛されることでもなく、
それ以前の、基本的なこと、だった。
だからこそ、最低限の自己防衛以外で、ヤツが私にナニをさせるわけが無かったのだ。

そして、また、省25
1-AA