蚊
自分の身を守るためにハワード博士の本「モスキート」を読んでいる。蚊の迫害を受けている。自宅の近くにハワード博士の本が明言するのは、蚊の
悩みの種は、仏教徒の墓地からやって来ると言った。古い墓地では墓石ごと、前の辺りに水置き場や水箱があって、
そう、この水槽と花入れから敵達が生まれ、死者の水から何百万にもふくれ上がる──仏教の教義に照らしてみれば、奴らの内の幾らかは、生前の過ちから
さて話を灯油に戻すが、いくつかの現場を澱んだ水の表面全体に対して、灯油の
私は不思議に思う、東京の市役所へ何か言っていれば──積極的に科学的か進歩的のどちらかだと──すぐに仏教徒の墓地の全ての水の表面を、定期的に灯油の膜で覆うべきであると命令している。どうやったら生活の救いを禁止する信仰ができるだろう──見えない生活ならなおさら──どんな命令に屈するのか?そんな命令に従うために、子孫としての孝行心を等しく納得させる夢を見させられるだろうか?それに費用のことも考えなくては、灯油を置く労働と時間、七日ごとに、数百万の水溜と、数千万の竹の花入れ、東京中の墓所で!……できる訳がない!蚊から都市を解放するには、古くからの墓所を破壊しなくてはならない──それは付属の仏教寺院の滅亡を意味するだろう──そして、たくさんの魅力的な庭園と一緒に蓮池と梵字で記された記念碑、こぶだらけの橋、聖なる森、不気味に微笑む仏像の消滅を意味するだろう!そう、クラックス・ファスキエータスの根絶は先祖代々の宗教的詩情を破滅に巻き込むだろう──大き過ぎる対価を支払うのは確実だ!……
そのうえ私は、時が来て古い種類の仏教徒のどこかの墓所に埋葬されたいと思っている。従って霊的交友は古い人のはずだから、流行と変化と明治の崩壊を気にしない。あの庭の裏の墓地は、最適の地となるだろう。素晴らしい美しさで、驚くほど風変りな、存在する物全てが美しい、木と石のそれぞれは、もはやどんな生者の脳にも存在しない古い古い理想で形成され、影でさえこの時代と太陽ではない、決して蒸気や電気や磁気──灯油!──を知らない忘れられた世界である。大きな鐘の響きの中にも感情を目覚めさせる音色に古風な趣があり、全ての十九世紀的部分から遠く離れて非常に不思議な、ほのかな見えない感動が恐れを生み出す──とても楽しい恐れを。あの響きのうねりを聞いたことは無いが、認識できるように霊的部分を、深淵に羽ばたかせて努力している──一兆の死と誕生の朦朧とした彼方の光を思い出し到達しようともがく感覚。あの鐘が聴こえる範囲に残れるよう願っている……そして、運悪く食血餓鬼の状態になる可能性を考慮すれば、どこかの竹の花入れか水溜の中に生まれ変わる機会を得たい、そこから知人の何人かを噛むために、細くて鋭いさえずりを優しく歌い出すかもしれない。